君との恋は面倒すぎる

その後市営電車で金森倉庫の方に移動して中のお店を見て回る。

オルゴール堂を見て回っていると、犬のぬいぐるみが流行りの曲を流している。


「見て、可愛い」


手のひらに乗せてみせると蒼空くんは優しく笑って「可愛い」と言ってくれる。

その可愛いの言い方とか視線がこっちに向いているから勘違いしそうになる。


「ね、可愛いよね!」


顔が熱くなりながらも犬のオルゴールを商品棚に戻して他の商品も見て回る。

いや、今のは私に言ったわけじゃないし。

後ろからなんか笑ってるような気配がして振り返る。

蒼空くんが手で口元を隠して肩を震わせて笑っていた。


「何笑ってるんですかね…」

「ううん、どっちが?って顔してたのも可愛かった。」


可愛いなんて普段言ってこないのに。

いつもと違う場所だから?「可愛いって言ったのは手のひらにオルゴール乗せて話しかけてくる日和」


改めて言われると顔が熱くなる。

今日はとことん甘い。


「…買ってく?」


先程のオルゴールを手にとって、話しかけてくる蒼空くんに首を縦に振る。

そんなの買ってくしか無い。

この子のお陰で可愛いって言ってもらえたし!

蒼空くんがそのオルゴールをレジで購入してプレゼントしてくれた。


「大事にする、ありがとう」

「うん」


そんな会話を交わしてまた金森倉庫内を見て回った。