君との恋は面倒すぎる

3階の空き教室まで来ると、手首から手が離れる。


「ごめん、蒼空くん。目立つ事しちゃって…。」

「七瀬が謝る必要ないでしょ。」


蒼空くんの静かな声が教室に響いて、静かだからよく聞こえる。

向かい合って涙を我慢していると、蒼空くんが私の手に持っていたお弁当袋を掴む。


「…貰っていい?」


問いかけてくる蒼空くんに頷く。

緊張とかさっきの恥ずかしさとか、守ってくれた嬉しさでもう感情がぼろぼろだった。

そっとお弁当の包みを開いていくのを見て、緊張してきた。

そんな不格好にはなってないはずだけど…。

蒼空くんがゆっくりと袋から取り出して、包みを開いてお弁当の箱を開けた時だった。