君との恋は面倒すぎる

「流石に無くない?弁当って。付き合ってるわけでもないのに」


 薫くんは私達の関係性を知らないからか、苦笑いしながら言っている。

 周りもそう思ってるのか、言葉には出さないが雰囲気から感じた。

 恥ずかしい、消え去りたい。
 こんな時に付き合ってるよって言えないのが情けない。

 まだ彼女として自信がないから。

 付き合っている事を知らないのであればそう思われても仕方ない。

 この状況でどういえばいいかもわからず固まっていて、そんな私を見た紗月が怒った声色を出す。


「ちょっと、薫…「付き合ってるけど」」


 文句を言おうとした紗月の言葉を遮って蒼空くんの静かな声が響く。

 周りもその発言には驚いたのか、シーンとしていた。
 この場で冷静なのは蒼空くんだけで少し異様ではあった。

 蒼空くんはいつもの無表情で薫くんを見ている。


「俺が作ってきてって言ったんだけど、何か問題?それに付き合ってなかったとしても、薫がそれを言う必要なくない?」


 そう言い放った後、優しく私の手首を引いて紗月に「七瀬借りるから」と言い放ち教室から連れ出してくれる。

 今そんなに優しくされたら泣いちゃいそうになる。
 傷付きはしたけれどこんな情けない私の事を守ってくれた事も、付き合っているとはっきり言ってくれた事も全てが嬉しい。