君との恋は面倒すぎる

 入学式の日

 日和と俺は同じクラスで席も近かった。

 その時に友人と笑顔で話す日和を見かけて、何となく目を奪われたのが始まりだった気がする。

 この時の俺はこれが一目惚れだとは気付いていなかった。

 表情は変わりやすい方だったけど、基本的に誰と話すにもにこにこと笑っていて、無愛想な俺と話す時ですら笑いかけてくれた。

 徐々に目が離せなくなってこれが好きだって自覚するまでに時間はかからなかった。

 俺には告白する甲斐性もなかったし、日和の気持ちにも気付いていたのに、なかなか行動には移せず中学の三年間見ているだけだった。

 そんなヘタレな思い出をここで話すには恥ずかしすぎるけど、日和のこの笑顔が好きでそこから始まった事を再度思い出した。

 そして今彼女は、俺の奥さんとなって俺の隣で笑ってくれている。

 普段から気持ちを伝えるのとかはかなり苦手だから何も言えないけど、正直これが幸せかという感じがする。

 結婚式は半年ほど前に済ませて、その時の写真がリビングの棚に飾られている。

 日和のウェディング姿と眩しいくらいの笑顔は言うまでもなく綺麗だった。

 日和は「蒼空くんのタキシード姿……!!」なんて言ってたけど、自分がどれほど綺麗かは自覚無し。

 そんな少し前の思い出に浸っている時だった。


「そう言えば蒼空くんにお話があります!」


 キッチンから改まって言う日和に首を傾げる。


「何、話って」

「大事なお話だから、ご飯食べ終わってゆっくりタイムの時にするね。だから今日はお風呂先に入ってきて!」


 そう言われれば素直に従うしかない。


「…わかった」


 日和の言葉に素直に頷くと、満足気な表情をして笑って頷く。

 そんな姿も悔しいけど、愛おしい。