君との恋は面倒すぎる

「早く着替えてきたら」

「まずは疲れた私を思い切り抱き締めてくださっても…」


 そう言いながら腕を広げると蒼空くんは「はいはい」と呆れながら、抱き寄せてくれる。

 何年経ってもこうして甘やかしてくれるから調子に乗ってしまう。

 おまけに優しく頭を撫でてくれるとまで来た。

 この時間が今は一番好き。


「さ、話あるから着替えてきて」


 そういうと身体を離して仕事部屋の方に戻ってしまう。

 話…?なんだろう。

 蒼空くんに言われるまま着替えに行って、リビングに戻る。

 蒼空くんもリビングに来るとソファーに座ってその隣を「ん」と言いながら叩いている。横に座れという意味なのか、大人しく隣に座ると「本当はいろいろ考えたんだけど、落ち着いて話したかったから」と言いながら私の手を取る。

 改まった話し方に何だか緊張する。


「交際して十年だよね」

「そうだね、長いね!」


 こういうの意外と覚えていてくれるんだな。


「多分ここ逃したら次言えなくなるから」


 そう言って少し緊張した表情をしている。

 珍しい、蒼空くんがこんな風に緊張するなんて。

 私の手をそっと離した後、小さな箱を取り出して、それをパカッと開け、こちらに中身を見せてくる。


「え!?」