君との恋は面倒すぎる

 翌日、約束通り紗月と会っていた。

 久しぶりに紗月の家に遊びに来ていて、ゆっくり紗月の部屋で二人きりで話す。


「どう?向こうは」

「うん、ようやく友達も出来てきたし楽しいけどやっぱこっちが良いな。」

「柊くんいるしね」


 そう茶化すように言ってくる。


「紗月もいるし!」


 そう食い気味で返事をすると、紗月は優しい表情をして少しだけ笑ってくれる。

 短かった紗月の髪は少し伸びていて、高校生の時よりもすごく大人っぽくなっている。髪が長くても、とても可愛らしい。


「…あ、そう言えばなんだけどさ」


 そっと紗月が話し始めたのを聞いていると、緊張したような様子で、こちらまで少し緊張する。


「薫と色々あったというか」

「薫くん?」

「あ、いや、付き合ったとかではないんだけど全然」


 紗月の言葉の続きにドキドキしてしまう。

 この手の自分の話が恥ずかしいのか言い出しづらそうな表情をしているのがすごく可愛らしい。


「実は告白されて、今返事を保留にしてる所」

「ええ!」


 高校時代、全然お互いにそんな感じじゃないよっていう雰囲気だったのにいつの間にそういう感じになっていたのか。

 ずっとそうなることを望んでいた私としては微笑ましい。


「え、お返事しないの?」

「いや、なんかもう19年くらい幼馴染みとしていたら、気まずくない!?急に恋人になるって感覚が分からなすぎてさ…」


 幼馴染みがいたこと無いからその感覚があまりわからない。長く一緒にいすぎると、家族みたいな感覚になっちゃうのかな…。


「恋愛感情はないの?」

「…うーん、よくわからないんだよね。薫のことはすごく大事だと思うけどこの感情が好きかそうかって聞かれたらはっきりしないし」


 こんな風に悩む紗月を見たことがないから何だか新鮮だった。

 もう七年も付き合いになるのにまだこんな一面があるなんて。

 薫くんのこと恋愛感情かわからないとは言いながらも乙女の顔をしている。

 薫くんと紗月はずっとお似合いだって思っていたから、薫くんを応援したい。

 いつから紗月の事好きだって思ってくれていたんだろう。

 その話もいつか聞いてみたいな。

 少しずつ変わっていく周りのことが嬉しかった。