君との恋は面倒すぎる

 夜遅く、バイトが終わり、蒼空くんと電話しながら帰ろうと店を出たときだった。

 ちょうど電話がかかってきて「もしもし?」と言いながら自分の家の方まで足を向ける。


『お疲れ、今上がり?』

「そう!疲れた、蒼空くんもお疲れ様!」


 蒼空くんと話していると後ろから肩を掴まれて、「日和ちゃんお疲れ様~!」と男性の先輩に声を掛けられた。

 びっくりしてスマートフォンを手から落としそうになる。

 この先輩距離が近くて好きじゃないが、愛想笑いをする。


「あ、お疲れ様です」


 軽くお辞儀して帰ろうとすると「夜遅いじゃん、危ないし送っていくよ」と隣を歩いてくる。


「いや、大丈夫です。家近いので、コンビニも寄りたいですし」


 苦笑いしながらそう断ると、「いやいや、俺も歩きたいし」なんて気を遣って断ってると思われて、全く折れてくれない。

 電話先では蒼空くんが聞いている。


「あの!彼氏と電話してるので!」


 そうはっきり伝えると「えー、彼氏いたんだ」なんて言って全然退いてはくれない。

 どうしよう、早く自分の家に帰りたいけど自分の家はバレたくない。

 スマートフォンに電話を当てて蒼空くんの様子を伺う。


「蒼空くん?」

『大丈夫なの。どういう状態』

「ちょっとトラブルで…」


 蒼空くんと話しながらとりあえず近くにあるコンビニまで向かう。

 先輩に軽くお辞儀して、歩いていくと着いては来ていない様子で少し安心した。


『そんな夜遅くまで何で働くの。危なくない?』


 蒼空くんの少し怒ったような声に少し驚く。

 こんな風に何かに対して怒られたことはあまりないからだ。


「夏、蒼空くんが会いに来てくれるって言うし、帰省もするから少しでも稼ぎたくて…、夜時給いいし」


 小さな声で説明すると電話の奥から軽く溜息が聞こえてくる。


『だからって君が危ない目に合ってたら意味がないんだけど。やめなよ、そんな夜中まで働くの』


 言っていることは正しいけれど、言い方に棘がある。

 そんな言い方しなくてもいいじゃんと私まで意地になり、思わず苛立った。