君との恋は面倒すぎる

 時期はまた流れて夏、三者面談。


───七瀬、環境の良い短期大学があるんだけど。


 担任から言われた言葉を、放課後の教室で母と一緒に聞いていた。パンフレットも渡され、中身を見ると地元からかなり遠方の短期大学。

 地元の短期大学と何が違うのかを、先生にかなり丁寧に説明され、先生たちが保育士になりたい生徒で、成績が足りている生徒には、その短期大学への進学を推薦しているそうだ。

 話を聞いていても、中身はかなり魅力的だし、保育士として目指していくならかなりいい環境ではあるけど、すぐに頭を過ったのは蒼空くんの事だった。

 もし行ったら、2年は遠距離になる。夢の為に甘いことを言ってられないのかもしれないけど、ここでも保育士を目指せるし、地元で就職したいからこのまま…、と何かと地元に残りたい理由を探していた。


「一度先生やご両親とゆっくり相談してみないか。七瀬にとっても悪くない話だと思う」

「はい」


 そう素直に返事をして、教室を母と一緒に後にする。


「まあ、お父さんに話したら間違いなく、紹介された学校に行きなさいって言われるわね」

「…だよね」


 うちの父は夢だと言うなら、きちんとその為にできる努力をしなさい。遠距離ぐらいで崩れる恋愛なら別れなさい。恋愛優先で自分の人生を決めようとするなという、そんなタイプの父だ。母は私の意思を尊重してくれることが多い。

 どちらが正しいとかそんな単純な話はしていなくて、どちらも正しくて両親の優しさの形なんだと思う。

 まずは蒼空くんに話したい。だけど、もしかしたら蒼空くんなら、行けと私の背中を押しそうなそんな予感がしていた。