君との恋は面倒すぎる

 空き教室に入り、いつもの席に座ると、蒼空くんと向かい合う形になる。


「…誤魔化しても意味ないから言うけど、島崎から話は聞いた」

「…うん」

「島崎の言うことが事実だって言ったけど、何で?大切な友達って言ってなかった?」


 蒼空くんの問いかけに言葉に詰まる。

 本当にそう思ってたよ。教室で知らない子が多くて、同性の子は誰とも仲良くできなくて、一人だった私に唯一笑顔で話しかけに来てくれた子だったから。

 それがどんなに嬉しかったか今も覚えている。
 忘れるわけがない。


「…向こうはそう思ってないって判断したからだよ」


 蒼空くんはてっきりそんなことないって言うのかなと思ってた。

 だけどかなり悩んでいる表情をしていた。
 言葉を選んでいると言うより、思い当たる節があるという顔。


「俺、本当に気付いてなかったけど、抱き着かれて初めて日和が言ってた事が本当だったんじゃないかって思った」


 そう言う蒼空くんに少しだけ笑ってしまう。

 皮肉にもあの出来事が、蒼空くんの意識を引き出しただなんて。


「鈍すぎだよ」

「うん、ごめん。本当に日和と島崎がまた仲良くなればいいって思ってた。日和が、薫と俺の時にそうしてくれたように」


 そう罪悪感を抱いているのが伝わる、静かな声で言う。