君との恋は面倒すぎる

───Side 薫


 日和ちゃんには悪いけど、ちょっとカマかけたら素直な反応に全て答えが出ていた。

 見ているだけでもあんなに悩んでいるのに、あのバカがなにをしているのかわからない。

 本当に、あれに好意無いとか思ってんのかな蒼空。
 鈍感すぎて心配になるレベルなんだけど。

 今も変わらず席が前後だから、と楽しそうに話している島崎さんと、ほどほどに流し聞きしている蒼空の元に寄って肩に手をかける。

 蒼空はふと顔を上げると、俺の顔を見つめ返してくる。


「ちょっと面貸せよ」


 そう声を掛けると蒼空はそっと立ち上がる。

 通り際に島崎さんに視線を移すと気まずそうに逸らしていた。

 俺にはどうしてもそんな男苦手です~って、感じに見えないんだよな。

 紗月がこの子を嫌いになる理由が分かる気がする。

 そんなことを考えながら、人通りの少ない廊下に二人で向かい、到着すると対面する。


「なんかあった?」


 初っ端から責めたい気持ちはあったけれどぐっとこらえ、問いかける。


「…うん、何かどうしたら良いかわかんなくなってきた」

「何が」


 蒼空は観念したように溜息を吐き、口を開く。


「日和がもやもやしてること全部聞いてたけど、全部島崎絡みで。

前までは大事な友だちだからって話してたのに、最近日和は島崎に近付こうともしないし…。

島崎は島崎で日和のことで相談してきて、二人が友達で居れるならって思って話聞いてたけど、今度俺と島崎の距離の近さが日和には引っかかってて。」


 聞いてる内にイライラしてきた。

 何で、こいつはそんなのにひっかかるわけ?


「お前、人の友人関係に口出してる場合なの?」


 俺の苛立った声に蒼空は何も返せない。


「あの子が不安だってどんな気持ちで言ったかも考えないで、嫌だって言ってること無視して、島崎さんと日和ちゃんがとか言ってる場合か?正直お前のほうが絶望的なの自覚してる?」


 俺の言葉に、普段感情を出さない蒼空が、わかりやすく苛立った表情をした。


「わかってんだよ、そんなこと。だからどうするのが良いのか悩んでんだろ」

「きっとお前よりもあの子は長いことずっと苦しい思いしてるよ。大事にできないなら手放せば。俺が攫ってくから」


 それだけ言い放ち、蒼空をその場に置いていく。

 こんなことなら、あの時二人の幸せなんて願ってやんなきゃよかった。