君との恋は面倒すぎる

 あの喧嘩から数日、蒼空くんとはあれから話していない。

 茉莉ちゃんの事を避けるようになって、私は極力関わりを切るようにした。


「日和ちゃん、大丈夫なの最近」


 そう声を掛けながら、前の席に薫くんが座る。


「何が?元気だよ~」


 なんて言いながら笑って返事する。

 そんな私の顔色を、私の机に腕を乗せながらじっと見つめていた。


「…日和ちゃん、嘘下手だよね」


 そう言われて少し詰まったが、すぐに取り繕う様に笑った。

 最近、この癖が身に付きすぎてしまっている。


「…うん、そうかも。実はさ、進路が今考えているのが結構幅広くてどうしようかなって」


 そうざっくり話すも薫くんは全く笑ってくれない。

 いつもニコニコしている薫くんなのに時々こうして見透かすような顔をする。それが今は、心地が悪い。


「話したくないなら良いんだけど、今行き詰ってない?本当に大丈夫?」


 正直かなり弱っていると思う。
 でも、薫くんに頼るのも違う気がした。

 過去のこともあり、なかなか話し出せない私に、薫くんはクスッと笑う。


「島崎さんと蒼空、最近仲いいよね」


 振られた話に肩が揺れる。


「島崎さん完全に蒼空好きじゃん?あんなん」

「…薫くんから見てもそう思うの?」

「いや、てかみんな思ってると思うけど。あの"純粋鈍感バカ"は気づいてないみたいだけど」


 蒼空くんのことを"純粋鈍感バカ"と呼ぶ薫くんがおかしくて笑ってしまう。


「やっと笑った」

「え?」


 薫くんが少し優しい表情をして、そんな事言うから驚いた。

 そんなに、人から言われるほど、笑ってなかった?


「笑ってる顔が一番可愛い」


 そう言って頭を撫でられる。唖然として固まっている時には、すでに彼は席を立ち上がっていて、離れていく。

 少し複雑な気持ちになる。
 薫くん、まだ私にそういう気あるのかな…。