君との恋は面倒すぎる

 そっと振り返り、紗月に手を振ると、紗月も手を振り返してくれる。

 それから二人で歩きだすと、会話がない。
 何を話せばいいかわからない。


「…あのさ、最近避けてる?」


 ふと気まずさを感じているときのそんな質問だった。


「ううん、避けてないよ」


 一瞬どう帰すべきか悩み、取り繕ってそう笑いかけても蒼空くんは真顔だった。

 見透かされているようで、居心地が悪い。


「…何でそんな見え見えの嘘の付き方すんの。俺が何かした?」

「本当になんでもない」


 そう返して蒼空くんから顔を逸らす。

 今はなんて説明していいかわかんない。色々聞きたいこともあるけど、でも私には何も言う資格が無いから。

 茉莉ちゃんと仲良くしてても仲良くするなとかそんなこと言えない。

 だってこれは、自分でもわかるほどの、醜い嫉妬だから。


「わかった、もう聞かない」


 蒼空くんは私から顔を逸らす。

 私が我慢したら全部丸く収まる。

 そんな風にいつからか考えるようになっていた。