君との恋は面倒すぎる

 進路希望調査が目の前にあって、現段階でひとまず希望している進路を書くようにと、指示されている。

 これで今の学力と見合わせ、面談をし、担任と進路に関して深く話し合うそうな。この時期は毎年この調査票が配られるらしい。

 夢がなかったわけではない。ずっと保育士になりたいと思ってたから、その道に進むって昨年までは思ってた。

 だけど、ようやくこうして動いていくんだなって思ったら少し怖くなって、自分の将来それで良いのか悩んでしまっている。

 悩むほどの夢なら止めるべき?

 色々考えている内に、そう思えてきて、溜息を吐いた。

 まだ時間があるし、一旦予定通り地元の短期大学で出して色々調べてみようと、そう決めて近くの短期大学から通えるところまでの第三候補に分けて書いた。

 修学旅行が終わり、まだどこか浮足立っている。

 周りは徐々に切り替えているというのに、私だけがついていけていないような、そんな気がする。

 少しずつ大人になっていく自分にも、気持ちが追いつかないまま、時間だけが過ぎていく。


「日和ちゃん、進路希望調査出した?」


 そう問いかけてきたのは茉莉ちゃんで、笑顔を取り繕う。


「あ、うん。今丁度書いてた」

「どこの予定なの?」

「あ、いや、適当に書いたから」


 そんな風に、ごまかして調査票を隠す。


「そうなんだ、蒼空くんはね」


 いつの間にかしている名前呼びと、話し始めようとする茉莉ちゃんに驚いた。


「ごめん」


 そう話を遮ると、茉莉ちゃんは驚いた顔をしている。


「蒼空くんの話は蒼空くんから聞くから良いよ、ありがとうね」


 苦笑いしてそう牽制する。


「そうだよね、気付かなくてごめん」


 謝る茉莉ちゃんにううんと首を横に振り笑ったけど、すごくもやもやした。

 名前呼びするほど仲良くなったの?
 何で進路の話茉莉ちゃんが知ってるの?
 それを何で勝手に話そうとするの?

 嫌な気持ちがモヤモヤと溜まっていく。

 もう大丈夫って思えたはずなのに、全然大丈夫じゃない。

 その言葉を飲み込んで、気まずくならないように「修学旅行後なのに進路とかきついよねー」と苦笑いして話を逸らした。

 他愛のない話を続けるも、全然納得がいかない。