君との恋は面倒すぎる

 ドアの方から聞きなれた声が聞こえてくる。


「日和ちゃん、平気?」

「うん。大丈夫。朝食ありがとう」


 茉莉ちゃんの声だ。

 やっぱり蒼空くんとは普通に話せるんだな。

 そんな小さなことかもしれないけれど、胸が痛む。


「…私も残ろうかな」

「ごめんけど、何も無いなら行って欲しい。今日は2人にさせて」


 蒼空くんの静かな声が鮮明に聞こえる。

 そうやってはっきり断ってくれる。

 昨日だって、もしかしたら1人で行くから良いよって言ったのにそこに茉莉ちゃんが着いてきたのかもしれない。

 そうだとしたらなおさら蒼空くんは悪くない。

 いつも不安にさせないような行動してくれてるのに…。

 私は自分のことで必死で、視野が狭く、器も小さい。


「で、でも…「島崎」」


 蒼空くんが牽制するように名前を呼ぶと茉莉ちゃんは小さな声で「…わかった」と返事をした。

 そのまま朝食会場に戻っていったのか、ドアが閉まる音がする。

 トレーに乗った朝食をテーブルの上に置く。


「薬、飲まなきゃだから一口でも食べれる?」


 蒼空くんの言葉に頷いて身体を起こす。

 パンとちょっとしたおかずと、飲み物と薬が乗っていた。

 テーブルと椅子の方に移動すると蒼空くんも向かいに座る。

 こうやってふたりきりなの変な感じがする。

 修学旅行中初めてじゃないけど、基本的に誰かいるから。

 ここで初めて蒼空くんの不安そうな所見た気がする。
 いつもそんな表情を見たことなかったから。

 2人で朝食を取って、その間会話はない。

 BGM代わりにテレビを付けて、それが流れているだけ。

 ちゃんと仲直りしたい。

 いつも蒼空くんはどんな気持ちで嫉妬したとか伝えてくれていたのか。

 私が伝えようとしたらこんなに不安になるのだから、蒼空くんだってきっと怖かったに違いない。

 いつもそんな感情と、向き合ってくれてたことを知って、罪悪感と、嬉しさがあった。

 もし私がこの気持ちを伝えたら、受け止めてくれるのだろうか。