君との恋は面倒すぎる

 中に入ると、女子3人で固まりながら見ていく。

 1階から壮大なアクアリウムにテンションが上ってしまう。

 ジンベイザメが天井を泳いで通ると、回りから声が上がって私も上を見上げてしまう。

 すごく綺麗。

 そう感動しながら天井を眺めていると、蒼空くんが隣に来て私の手を握ってくる。


「蒼空くん…、周り人いるよ」

「邪魔されたしこのくらい許されるくない?」


 その言葉に本当は2人が良かったって言葉が見え隠れした。

 同じ気持ちだったのだと知れて、心が温かくなる。


「本当に2人で来てくれる?また」


 私が問いかけると、蒼空くんはこちらに視線を向けふと微笑む。


「当たり前」


 そう言ってくれる蒼空くんに少し笑って、小指を差し出すと指切りするように絡めてくれる。

 水族館内は暗いところもあって足元が見えにくい。足元に気をつけて歩いていると、蒼空くんが私の手を撮りながらゆっくり歩いてくれた。


「危なっかしい」

「大丈夫だよ、子どもじゃないんだから」


 そういいながら怒ると、彼は笑っていた。

 歩いている時に横を小さな女性が通り過ぎて行った。


「わっ」


 近くに居た茉莉ちゃんが足元をとられて転びそうになっている。

 支えようとすると蒼空くんが私の手をパッと離して、茉莉ちゃんの身体を支えるのが見えた。


「あ…、ごめんなさい…」


 気の所為…?
 茉莉ちゃんの顔が赤くなった気がして、何だかモヤッとする。

 蒼空くんは「気をつけて」と言うと身体からすぐに手を離す。

 蒼空くんに支えさせるくらいなら私が助けたかった。

 蒼空くんはあまり女子と関わる方じゃないから気にしたこと無いけど、初めて嫉妬してしまったかもしれない。

 彼は優しいし格好いいから、モテるのもわかるけど茉莉ちゃんには好きになってほしくない。

 気の所為だったらいいのに。

 そんなもやもやとした感情がずっと渦巻いていく。


「日和、見て。いい写真撮れた」


 そんな私の肩をとんとんと紗月が叩いてくる。

 横に並ぶとスマートフォンを見せてきて、画面の中には、私と蒼空くんが手を繋いで笑ってる姿が写真に取られていた。


「柊くん、日和の前じゃこんな笑顔するんだね」

「え、紗月天才?」


 すごく綺麗に撮られていて、嬉しい。

 紗月はいつも私の様子に気づいて元気づけようとしてくれる。

 まだ茉莉ちゃんが蒼空くんを好きって確定したわけじゃないし、こんな考え方やめよ。

 もやもやとした気持ちを振り払い、楽しむことに決めた。