君との恋は面倒すぎる

「…ギリギリまで耐えるつもりだけど、やりすぎなくらい理性飛んでたら遠慮なく殴って」

「え?」


 その言葉と同時に顔が近付いてきて、口を塞がれる。

 いつもみたいな軽く触れるだけのキスじゃない。
 深く深く舌を絡め合うようなキスに息が出来なくなる。

 時々角度を変えるために口を離しても、その時間は一瞬で息継ぎすらままならない。

 こんなに強引で無理やりでも、嫌じゃない。
 むしろ求められていることが嬉しかった。

 彼の首の後ろに腕を回し、必死に応える。


「…っは…」


 お互いの吐息が漏れる音が聞こえるくらいに近くて、時々聞こえるリップ音や口内で舌が絡む水音に頭がおかしくなりそうになる。

 外なのにこんな風に求め合って、はしたない。

 段々とエスカレートし、彼は水着を胸が見えるギリギリまで手でずらしてくる。


「えっ…、んっ!?」


 何か言おうとしても唇を塞がれて、離れた頃には酸欠で、息を整えるために話せなくなる。

 胸元ギリギリまでずらされた所に蒼空くんは唇をあてがい、次第にそこに痛みのある刺激が走る。


「いっ…!」


 蒼空くんは唇を胸元から外して、先程まで唇を当てていた場所を見ると、満足そうな表情をして、その箇所を親指で触れる。

 彼らしくない行為に、こちらは困惑している。


「そ、蒼空くん?」

「俺のってつけといた。あんま露出すると見えるから気を付けて」


 そう言って少しだけ捲っていた水着を元に戻す。

 俺のって……。

 自分でも確認すると、小さく真っ赤な印が付いていた。


「えっ……、独占欲すごすぎ……」

「今更?……君のせいだから、こんなに余裕なくて縛らなきゃいけないの。いい加減にして」


 言葉は怒っているのに、その声色はかなり優しくて甘い。

 彼から受け取る初めての甘い独占欲に胸がいっぱいになる。


「ええ…、好き」


 そう言って悶えている私に「変な子」と少し笑い、優しく抱きしめてくれる。

 修学旅行でなかなか二人きりになることもないから、こんな甘い時間は過ごせないと思っていた。蒼空くんの行動のおかげで、この時間が過ごせ、ささやかな幸せを噛み締めていた。