君との恋は面倒すぎる

「あれ?紗月じゃね?」


 後ろから聞き馴染みのある声が聞こえ、そちらの方を向くと薫くん、澤山くんと、蒼空くんがいた。

 みんなも涼し気な服装に着替えていて、蒼空くんは水着ではなかった。そもそも、海に喜んではいるタイプにも見えないけれど…。


「あ、ちょうど良かった。探してた」


 紗月が薫くんたちと話すにも、私は蒼空くんの方を見れない。水着姿どう思われるかが恥ずかしくて。

 いつもより高めに結んだ髪に、いつもより丁寧に施されたメイク。そして着慣れない水着。

 露出はそんなにしてなくても多少お腹が出てるし、肩は上に白の透けた上着を羽織ってても見えてるし。

 彼の反応を見るのが、怖い。


「うわあ、紗月も多少露出した水着着れんのな」

「何それ、水着なんて出すところ出してなんぼでしょ」

「律儀に彼氏の言うこと聞いて露出控えめにしてる可愛い子もいるけど、彼氏は何も言ってあげないのかな」


 そう揶揄う様に言う澤山くんの言葉に顔が熱くなる。


「そういうのいいから!」


 恥ずかしくなって顔の前で手のひらを出すと、その手のひらを蒼空くんに掴まれる。私の顔を覗き込むように見ていて、顔が近い。

 あまりにも近い距離に顔が熱いまま、冷めてくれない。


「ちょっと連れてく」


 それだけ言って私の手を引いて歩き出す。

 後ろから色々声は聞こえたけど、何を言ってるかなんて、分からない。今この状況に自分も動揺していて、私の手を引く蒼空くんの背中をただただ見つめるしかなかったから。