君との恋は面倒すぎる

蒼空くんは約束通り家まで送ってくれた。

家の前でお互いに向かい合って、ほんの少しだけ話す。


「送ってくれてありがとう」

「いや、むしろ塾終わりに遅くまでごめん。」


そんな気遣いをしてくれる蒼空くんに首を横に振る。

まだ、一緒に居たいな。プレゼントも渡せていないし。

そんな気持ちで駄目元で蒼空くんを引き留めた。


「…家、上がっていかない?」

「え」


少しだけ驚いた顔する蒼空くんに、私の顔が熱くなる。

こんな時間に我儘を言っている自覚はあるんだけど、一緒に居た時間も身近過ぎて全く足りていない。


「…ご迷惑じゃない?」

「ううん、それに渡したいものもあるし、一緒にいたいから」


そう伝えると、蒼空くんは「わかった」と返事してくれて一緒に上がってくれた。

その分かったという返事に嬉しくなって、また少し浮つく。

それから家のドアを開けると、お母さんが出迎えてくれた。


「日和、おかえ…」


お帰りの言葉は蒼空くんを見て固まってしまい、封じられる。

まさか来ているなんて思わなくて驚いたのだろう。