君との恋は面倒すぎる

「でも珍しいね、蒼空くんが誘ってくるなんて」

「島崎に言ってないのわかってたから、接触控えてただけ。でも、今日バレたし良いでしょ」


 茉莉ちゃんが男子苦手なの知ってて、私といつも一緒にいるから話しかけたら怖がらせるのもわかっていたから、遠慮していてくれたのもあると思う。

 いつも言葉は足りないし、説明なんてしないけれど、裏側の優しさまで見えてくると、どこまでも嬉しくて暖かくなる。

 あわよくばその優しさを見つけられているのが、私だけなら、もっと嬉しい。


「私、蒼空くんの彼女になれて本当良かったな」


 本音を零すようにそう呟くと蒼空くんはこちらに視線を移す。

 それからほんの少し、耳の辺りを赤くし、私から顔を逸らす。


「…何それ。急に言うの反則すぎ」


 少し照れるその顔も大好きなの。

 付き合った時は何考えてるか分からなくて、彼女の自信なんて持てなかったけど、蒼空くんもだんだん反応や言葉、行動で返してくれていて、私がこの人の彼女なんだなって思える。


「少しは寂しくなってくれてた?」

「…我慢してた。こうやって触れるのも」


 そう言いながら私の指を絡めて、手を繋いでくれる。
 優しく繋いでくれる私より大きな手。

 久しぶりに繋いだ手が久しぶりにすごく安心できて、触れられていることが嬉しかった。


「修学旅行、楽しみだね!」

「…別に。団体行動で自分の好きなように動けないの不便じゃん」

「あ!またそういうこと言って!」


 そんな言い合いをしながら、いつもよりゆっくり、いつもの通学路を歩く。

 このまま家に着かなきゃいいのに、なんてそんなことを願ったりした。