君との恋は面倒すぎる


 今日は午後から入学式があるから、式に参加しない在校生は午前中で帰宅しなければならない。

 そのため帰り支度をしていると隣の席から「日和」と声がかかり、顔を向ける。


「どっか寄ってく?」


 蒼空くんからの誘いに「うん!」と返事をすると、そのタイミングで薫くんも寄ってくる。


「え、どっか行くの?今日は俺もデートの邪魔しようかな」

「たまには紗月も誘っていく?」


 流れるように私と薫くんが話していると蒼空くんは少し呆れた様に溜息を吐いていた。


「何、忘れてんの」

「え?」

「君が言ったんじゃん。春休み明けたら制服デートしたいねって。二人が混ざったらデートじゃないけどそれは」


 呆れた様に言葉にされて、そんな話をしたのを今思い出した。

 その話をしたのは春休み中の事だった。

 寝る前の電話で、いつも一緒に帰るだけでちゃんとした制服デートをしたことがないから、してみたいと話していたのを、彼の方が覚えていてくれた。


「蒼空くんが覚えててくれた~…!」

「日和ちゃんが忘れることあるんだそれ」


 薫くんが苦笑いしながらそうツッコんでくる。

 忘れていたわけでは無い。

 ただ、私のさらりと零した言葉を蒼空くんが覚えていてくれていて、叶えてくれるつもりだったなんて思わなかった。