君との恋は面倒すぎる

 空き教室に着くと、蒼空くんはいなかった。

 いつも私がお弁当作ってるし、来る、よね?と、少し不安になりながらも、深呼吸し、いつもの席につく。

 今渡せなくても放課後でもちゃんとチャンスがある。

 そんな風に信じて、窓の外を眺めて蒼空くんが来るのを待っていた。




𓂃꙳⋆⭐︎




 待ち始めて数分後、ドアが開く音がした。その音に引っ張られるようにドアの方を見ると蒼空くんがいた。

 蒼空くんは少し険しい表情をしていたけれど、いつも通り蒼空くんも私の隣の席に座って、こっちに身体を向ける。


「そ、らくん?」


 何も言わずこちらを見つめてくる蒼空くん。

 ひとまずいつも通りお弁当を渡すと、黙って受け取ってくれる。

 あ、受け取ってくれるんだ。

 なんだかシュールな絵面だけれど、笑える雰囲気ではなくて、必死に何を考えているのか読み取ろうとしていた。

 言葉を持っていると「ねぇ、俺の彼女じゃないの。君」と、少し怒ってるような声が聞こえてきて、少し驚いた。

 何で怒ってるの?

 思い当たる節がなくて戸惑う。

 私のわかっていなさそうな表情に少しだけ、眉を下げているのが見えた。


「俺が何で怒ってるかわからない?」


 怒っていても私の手を取る手つきはすごく優しくて、そのままぎゅっと握ってくれる。


「え…、何で?」


 今日は本当に怒られる覚えがない。

 そもそもこんな風に普段、怒られることがないから予想もつかない。


「こんな事言いたくないけど、伝わってないのもムカつくし…、1回しか言わないからよく聞いて」


 そう言って目線を合わせてくる。

 ムカつくと直接的な言葉に緊張が走る。