君との恋は面倒すぎる

「来ないかもだけど、蒼空くんの事いつもの教室で待ってみる。ありがとう、紗月、薫くん!」


 そう言って二人分の弁当箱と用意しておいたバレンタインのガトーショコラを手に持つ。

 彼女は私だ、堂々としていよう。

 そう言い聞かせ、空き教室へ向かった。




𓂃𓈒𓂂𓏸




「あんたも本当諦めないよね」

「…うん。見た?バレンタイン内容、多分俺等のと蒼空の違うよあれ」


 内容が違うことはもちろん知っていた。
 日和が我が家に来て一緒に作ったから。

 毎年バレンタインになると泊まりがけで一緒にお菓子作りをする。私と日和にとって大事な一日で、一年の中でも楽しみにしている日。

 落ち込む薫に溜息を吐いて、軽く肩をたたく。


「落ち込んでも仕方ないでしょ」

「…だよなー」


 まだ日和の背を目で追ってる薫に、慰めではないけど用意しておいたチョコレートを渡す。


「え?」

「義理で悪いけど、あげる。毎年貰いに来るでしょ」


 薫はそっと受け取ると、少しだけ笑って「毎年ありがと」と言って嬉しそうにしていた。

 こいつくらいだ、私のバレンタインを毎年わざわざ受け取りに来るのは。