君との恋は面倒すぎる

 そのまま蒼空くんを見送った私に薫くんは不思議そうな表情でこちらを見ていた。


「蒼空に渡さないの?」

「うーん、何かあんなに貰うと蒼空くん甘いの好きじゃないし、困っちゃうかなって」


 そう言って苦笑いすると「うーん」と薫くんが少し声を漏らし「俺なら貰えない方がショックだけどね」と言葉を零していた。

 そもそもこのイベントに興味がなさそうな彼が、もらえなかったからと言って落ち込む姿はあまり想像が出来ない。準備してきたので受け取ってほしい気持ちはあるけれど、一旦ここは私も教室に向かうことにした。

 教室に到着するとそこでも相変わらず蒼空くんは先程同様にとんでもない状態だった。机の中にもロッカーの中にも大量にチョコレートが入っており、廊下でもすごい女子の数の人が渡そうとしていて、蒼空くんは全て無視していた。

 それに比べて薫くんは全女子から笑顔で受け取っている。そんな彼を見て、どうやって持ち帰るんだろう、あれと疑問を抱きつつ黙ってみていた。

 中にはチョコだけじゃなくて手編みの物を渡したりしている子もいる。準備の段階からかなりの時間をかけ想いを伝えているのを見て 恋する女子はすごいな、と他人事のような感想を抱いていた。