無気力な先輩は、私のヒーローです。

伊織side

昼休み、屋上でのんびり過ごしていたら予鈴が鳴った。

重い腰を上げて、教室へ向かう。その途中、花と遭遇した。



「先輩、こんにちは。今、このノートを職員室に提出しに行くところです」

「そうなんだ。係の仕事?」

「はい、あ、私急いでるのでこれで!」



もうちょっと話したかったな、と名残惜しく思いつつ階段の踊り場を後にする。

そういえば、ノートの表紙には数学って書かれてたけど、前に花の係を聞いたときは違う係だったはず。

なんで花が数学のノートの提出を?と疑問が浮かぶ。その答えを考えながら、自分の教室へ向かっていると、同じクラスの友達に呼び止められた。



「あ、伊織!次の授業、移動教室になったらしいぞ。場所は視聴覚室だって。早く行こーぜ。」

「うん、教科書持ってくる」



まぁ、俺の気にし過ぎかな…と思い、自分の机から教科書を取り出して、視聴覚室へと足を運んだ。