☆キャンディガール★

「私はこれまで誰になんと言われようとキャンディガールになるべく鍛錬してきたの、これからもするつもり。生半可な覚悟じゃ行動を共にする事は出来ないわ!」

 先輩が黒髪をサラッと払う。私はスカートを握って返事を絞り出す。

「周りにキャンディガールになりたい子が居なかったから、高校に入ってユリ先輩の存在を知った時、わたし、嬉しくて、それで」

「キャンディガールごっこをしたいのであれば他を当たってくれない? 私は本気よ」

「わ、わたしだって本気です! もう遅刻はしません! だから一緒に、一緒に」

 ここまで告げたら涙が出てきてしまう。ユリ先輩の言葉は間違っていない。わたしが未熟なんだ。
 キャンディガールになりたいと言うだけで具体的にどう行動すればいいのか、全然分からない。というより考えてなかった。

「……はぁ。ハンカチ、貸したままよ」

「あっ! そうでした。すいません!」

 バッグをあさった際、予習ノートが滑り落ち足元へ広がる。

「これ……あなたが調べたの?」

「先輩が巡回ルートを作らなきゃって言ってたので! こういうの得意なんです!」

 ノートを拾い、ユリ先輩はじっくり確認し始めた。その横顔に説明を求められている気がし、3人分は空いていた距離をつめる。