「あーヤダヤダ、いかにもお嬢様って感じ。お高くとまっちゃってさ」

 優雅な振る舞いを見送っていると、肩を強めに叩かれる。

「よっ、リンカ! 憧れのユリ先輩に弟子入して3日目、ついに破門か?」

 そのままギュッと抱き寄せてきて、お日様みたいな温かい香りがする。

「そ、そんな訳ないでしょ! た、確かに一緒に登校する約束、寝坊しちゃって守れなかったけど」

「ははーん、それで怒られたんだ? リンカが早起きなんかしたら天と地が引っくり返っちまう。世界の平和を守るキャンディガールが滅ぼしてどうする?」

「ううっ、ミチルちゃん……ひどいよぉ。わたしなりに一生懸命やってるのに」

「張り切りすぎると後がつらいって意味。余分な力は抜いていけ〜」

 彼女は幼馴染みのミチルちゃん。襟足が跳ねたショートカットに元気な性格が表れている。

「ミチルちゃんはやっぱり陸上部にするの?」

 新入生は今週中に所属する部活を決めなければいけない。

「あぁ、もちろん! アタシはスポーツ推薦だからな!」

「そっか」

「で、リンカはキャンディガール部なんだろう?」

「ユリ先輩が言うには、部活としてはまだ認められてないみたいなの」

 上履きに履き替え、校内を見回す。わたしがこの学園へ進学した理由はキャンディガールがたくさん輩出されているから。

 でもーー。