☆キャンディガール★

 サラサラのストレートヘアが舞い、ユリ先輩も立ち上がった。
 青いリボンの前で両手を重ねる。

「幼い頃よりこの身に宿る想い、両親にだって止められない。危険があるかもしれないのは承知しているわ。私、いざという時のため護身術を嗜んでますの。あなたは?」

「え、わ、わたしはーー」

「不良や酔っぱらいに絡まれる可能性、ゼロじゃないのよ? 身をまもる術は持っておくべきだわ」

「そう、ですよね」

「……」

「えっと、もしも絡まれたりしたら、わたしは」

「何も考えなくていい、逃げなさい」

「へ?」

「たとえ私をその場に残す事になろうと逃げなさい、そう言ったの。約束できるかしら?」

「そんなっ! ユリ先輩を置いていけない! たとえ話でもやめて下さい、考えるだけで悲しくなっちゃう!」

(もしもユリ先輩が想像するピンチに陥ったとても、2人で切り抜ける方法を探したい。絶対にあるはずだよ)

 先輩の手を取り、ギュッと握ってみた。繊細な指先は冷たい。

「ユリ先輩はこれまで1人で活動してきました。けど今はわたしがいます! 頼りにならないと思いますが、一緒に考える事くらい出来ます!」

「綿貫さん……」

「リンカって呼んでくれませんか? そのほうが同じ夢を追い掛ける仲間っぽいーーあっ、そっか、わたしは弟子だったっけ! ヘヘッ、じゃあ仲間として認めてくれた時に呼んで下さい!」