夜がふけるにつれ、不安はピークに達していた。
今朝は出来るだけ早く帰って来ると言っていた。
しかし待てど暮らせど柊は帰って来ず、連絡も来ない。
これまでだったら単純に仕事が忙しいのだと思えていたのに、昼間の言葉があってか今は悪い想像ばかりが頭の中をぐるぐると渦巻いている。
結局憂は夕食を食べる気になれず、その日は何も口にせずに横になった。
眠ってしまえば嫌な事も考えずに済むと思ったのに全然眠れない。
何度繰り返したかわからない寝返りをうち、ふと時間を見ると午前2時を回っていた。
ーーまさか。…違う。絶対違う。
何度も自分にそう言い聞かせていると、玄関のドアが開く音がした。
そのまますぐに寝室へ向かう足音が聞こえてきたので慌てて目を瞑り寝たふりをした。
柊は憂が眠っているのを確認するとすぐにドアを閉め、しばらくしてから水の流れる音が聞こえてきたのでお風呂に行ったのだろうとぼんやりと考えた。
こんな時間まで何をしていたんだろう。
誰と、会っていたんだろう。
もはや飽和状態とも言える黒い感情の波に完全に飲まれ、憂は眠ることも出来ずにただ目を瞑っていた。
それからようやく眠気がやってきたのはもう完全に日が上がった頃で、結局憂は殆ど眠れないまま朝を迎えた。



