憂は完全に混乱していた。
あの男の言葉を信じていいのだろうか。
狂気的なまでに自分へ敵意を向けてくるあの女のことだ、男の言動すらも彼女の指示かもしれない。
けれど、どうしてもあの涙を嘘だと思えない自分もいる。
柊と話し合えと言われたって、一体何を言えばいいのか。
どんな風に伝えたところで沙里奈の名前を出した時点で「あなたのことを疑っています」と言っているようにしか聞こえないじゃないか。
結局答えはまとまらないまま、不安だけを残して憂の全てのバイト日程は終了した。
市塚から労いの言葉をもらったし、せっかく仲良くなった同僚からはまた時間合わせて食事でも行こうねと誘ってもらえて嬉しかったのに、何と返事を返したか思い出せないくらい頭の中はぐちゃぐちゃだった。



