「あの…私に何かご用でしょうか?」
隠すつもりもないのかあからさまなそれが気になりすぎて埒があかないので、思い切ってこちらから仕掛けてみる事にした。
男は話しかけられると思っていなかったのかビクリと体を震わせた。
「あ、いや…その…」
「私の気のせいなら申し訳ないんですけど、何か聞きたい事があるんでしたらお伺いしますよ」
にこりと営業スマイルを向ければ、男はオロオロと目を泳がせる。
「えっと、あの、……っ」
「?!」
そして何故か、男は突然その長い前髪から覗く目からぽろりと涙を落とした。
驚き過ぎて声を失い、逆にこっちが動揺させられてしまった。
「あの、これ…」
どうしたら良いか分からずとりあえず自分のハンカチを差し出した。
最初は拒否していた男を押し切って渡すと、男はそれを目に当てながら消え入りそうな声で言う。



