灰を被らないシンデレラ




「こんばんは、市塚さん。盛況なようで何よりだわ」
「尼崎部長…ご無沙汰してます。こちらのショップ立ち上げの際にはご尽力ありがとうございました」
「いいのよ。当然の事をしただけですから」
「それで本日はどのようなご用件でしょうか?」
「ええ実はね、今は期間限定で出しているこの店を今後は正式に店舗として展開してないかって提案に来たの。けれどその前に…」


沙里奈の視線がこちらに向き、これ以上は聞かせられないと言われたようだった。

憂は頭を下げてすぐにその場を離れたが、去り際に目に入った彼女の勝ち誇ったような表情が頭にこびりついて離れなかった。


仕事でも柊を支えられる。
あの時の言葉は確かだった。


けれど自分は?
何か柊の役に立てているんだろうか。

成人はしていても何の力もないただの大学生で、この場所だって彼のお膳立てで立たせてもらっているだけだ。