「私の母の事とか、昔荒れてたこと知ってた。私じゃ柊さんに釣り合わないんだって」
「っ、憂、俺は…」
「大丈夫だよ、柊さん」
今は柊の言葉すら辛く、早くこの会話を終わらせたかった。
「私タフだから。大丈夫」
柊を信じなければ。
虐められてただ泣いて縋るようなお姫様にはなりたくない。
ーー私を好きだと言ってくれた柊さんを、信じるんだ
「私今日一限からだからもう出るね」
食器をシンクへ移し、軽く流して食洗機へと入れてから鞄を手に取る。
いつものように柊に近寄りその唇にキスをして、にこりと笑顔を作った。
「行ってきます」
ーーなんて虚しいキスなんだろう。
いつも幸福感で満たされていたはずのキスが、今日は何故かなにも感じられなかった。



