「まあいいわ。その減らず口がいつまで持つか試してやらァ」
ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべながら、男は口を使って憂のシャツの裾を持ち上げる。
「大人しくしてりゃすぐ終わる」
そう言って、少し腰を浮かせた。
ーーー今だ。
一瞬の隙をついて思い切り脚を上に向かって蹴り上げた。
狙い通りそれは急所に直撃し、耕介がくぐもった声を上げて蹲る。
その隙を逃す事なく全身の力を使って大きな体を押し返し、下から抜け出して公園の出口に向かって一目散に駆け出した。
これを逃せば次のチャンスはない。
そう思うとまた身がすくみそうになるが、気持ちを奮い立たせて脚を前に押し出す事だけを考えた。
距離は稼げただろうか、もしかしたらもうすぐ後ろにいるかもしれない、そんな不安が過った時だった。
「憂!」



