因みに、憂が柊の妻である事は責任者である店長、柊の会社galleryの企画課長である市塚という男だけに伝えている。
憂がそうして欲しいと頼んだ。
純粋に気を遣われるとやり難いという理由でそこに他意はない。
柊も概ね理解を示してくれ、妥協案として市塚だけに伝えるに留まった。
助手席で柊の運転する車に揺られ、店舗が開かれる大型のショッピングモールへ到着すると柊はスマホを取り出しながら憂に向かって言う。
「会社に電話かけていくから先に行ってろ」
すぐにそれを耳に当てる姿を確認し、憂は黙って頷き車から降りた。
モール内は休日という事もあり人が多く家族連れも多い。
これから働く場所の雰囲気を噛み締めるように店舗や客層を眺めながら目的の場所であるイベントスペースに着くと、既に何人かそれらしい人物達が集まっていた。



