灰を被らないシンデレラ




「相原さんは実家じゃないの?」
「私は地方上京組。偉そうに言ってるけど、私も付け焼き刃だからレパートリー少なくて。臣永さんは手際もいいよね」
「そうかな…まあ、普段から家でやってるから、ね」


苦笑いをしながら憂は思わず左手に反対の手を重ねた。

目の前の相原という女が知っているかは定かで無いが、憂が柊と夫婦であることは知る人は知っている。


結婚については互いに芸能人でもなんでもないので特に公表はしなかったが、元より柊が女優やらタレントやらを食い散らかしていたお騒がせプレイボーイとのことで週刊誌の記者に張られており、二人でいる所をばっちり撮られてしまった。

憂が有名人でなかったこともありそれほど大きなニュースにこそならなかったが、週刊誌には仮面夫婦だの不幸な政略結婚だの好き放題書かれた。


更に実は結婚はフェイクで本命はやたら柊との交際を匂わせていたアナウンサーだとSNSで騒がれた時は、柊がブチ切れ自身のアカウントに嫌がる憂を丸めこめ指輪を嵌めた二人の手の写真を載せられた。

写真を撮られる際にそこまでしなくても良いじゃないかと抗議したが、イメージが大事なんだと言われてしまえばそれまでで、どの口がと思ったが後が怖いので言うのはやめておいた。



話は少し脱線してしまったが、花嫁修行の一環として嫌々叩き込まれた数少ない特技を褒めてもらえ、それを有意義に活かせるというのはなかなかに嬉しいものだった。