灰を被らないシンデレラ





バイトが出来るという事より、自分の意見を尊重してくれた事が嬉しかった。

今までずっと押し付けられる人生で、何一つ望んだ事はさせてもらえなかった。
夜な夜な遊びに出かけた時だって、ただの意趣返しのようなもので楽しくもなんともなかった。


にこにこと笑う憂は年相応の可愛らしさで、柊は思わず手を伸ばして頭を撫でた。

その思いの外優しい表情に頬に熱が集まるが、憂はそれを誤魔化すように俯いた。


「じ、じゃあ、また詳細教えて。もう少ししたら大学も夏休みに入るから、働ける時間は割と多く取れると思うし」
「ん、後で担当者から連絡させる」


短い返答を聞き、憂は止まっていた食事を進めた。

未だ胸の鼓動は落ち着かず、せっかく作った料理もあまり味を感じなかった。