なんて純粋無垢なんだろう。
今日も弟の可愛さはとどまるところを知らない。
[そうかもしれないね]
「うん。だってねーちゃんはお姫さまだからな!」
にかっと笑う黎に笑顔を向け、いつだったか黎が自分をシンデレラのようだと言っていた事を思い出す。
黎はそのお姫様の綺麗な部分を見てそう言ったのだろうけど、憂には灰を被った自分の姿しか思い描けなくて嫌だった。
父の思い通りにならざるを得ず仕方なく結婚したけれど、今となっては柊は間違いなく憂にとっての王子様だ。
母に捨てられ、父に蔑ろにされボロ切れみたいに扱われようと何も飾らない自分を愛してくれるただ1人の人。
こんなに自分の事を愛してくれる人などこの先二度と現れない。
そして憂も、柊以上に愛せる男など一生出会うことはできないだろう。
どれだけ追い詰められても笑えなくなっても、柊を想う気持ちだけは消せなかった。
もう決して柊への愛も信頼も、揺るぎはしない。



