灰を被らないシンデレラ



それはそれとして沙里奈の報復に怯える事も無くなったので、憂の行動も自由にできるようになり渋る柊を説き伏せて学校へは徒歩通学となった。


柊が何も求める事なく自分を選び側に置いてくれる事、沙里奈へのハッキリとした拒絶をこの目で目の当たりにした事で憂の心の靄は晴れ、以前の様に少しずつ笑えるようになってきた。

未だ声は元には戻らないが、他でもない柊が「ゆっくり待てばいい」と言ってくれているので焦りも落ち着いている。


そんな時、週に一度の姉弟交流で実家に赴き恒例となった黎による絵本の読み聞かせを聞いていると、弟は急に読むのを中断して妙案とばかりに言った。


「ねーちゃん、お姫さまの呪いって王子さまのキスで解けるんだぞ」


最近漢字を含め読める文字が格段に増えた黎は色々なプリンセスが登場する本を読み漁っているらしく、唐突にそんな事を言った。


「だからねーちゃんの声だって、柊さんにキスしてもらったら治ると思うんだ!」
「……」