驚きのあまり反応を忘れ、憂は男に腕を引かれるままに店の奥へと引きずられ、そこにある部屋の一室に押し込まれた。
そのまま投げられる様に乱暴にベッドの上に落とされ、すぐに自分より一回り大きな身体が覆い被さってきた。
「お前の家の使用人に根回ししといて正解だったわ。碌でもねえこと考えやがって」
「へ?は?」
目の前の男が何に怒っているか、そもそも一体誰なのかも分からず混乱する。
「なあ?…憂チャン?」
名前を呼ばれ背筋がゾッとした。
父の名前は知られているが、娘が居るというだけで憂自身についてはそれほど公表はされていない。
元より醜聞のあった女の娘だ。
それこそ徹底的に秘匿にされてきた。
それなのに、どうして。



