灰を被らないシンデレラ




「憂…追い討ちをかけるようで悪いけど、私は元の関係に戻るのは難しいんじゃないかと思う」
「そうだよね…私が彼を信じきれなかったから」
「夫婦喧嘩でどちらかだけが悪いなんて事無いでしょ。けど私は憂の友達だから、憂の味方しかしてあげられない」


味方、その言葉が嬉しくて自然と笑みが漏れた。


「憂さ、この間のお菓子教室で熱心にメモ取ってたの、あれは旦那さんのためなんだよね」
「ばれてた?」
「顔見れば分かるよ。だからこそ、そんな憂の気持ちを蔑ろにする男なら私は離れて欲しい。…けど、私はそうでも、憂は違うよね」
「……」
「眠れなくなる程に悩むくらい、まだ気持ちが残ってるんだよね?」


吹っ切れてたら今ごろサッサと捨ててるはずだと言われ、他人に分かってしまうくらい気持ちがだだ漏れだった事に妙に気恥ずかしくなる。


ただ憂の気持ちがどうあれこの婚姻が政略結婚である以上は簡単に離婚は出来ないだろう。

特にあの父親がそんな事許すはずがない。
バツの1つでもつこうものならどうなるか分からない。


だから今すぐどうこうなる問題ではない事はわかる。
けれどそう遠くないうちに決めなければならないだろう。

何も見なかった事にして続けるか、全てを投げ打つ覚悟で別れるか。