ただ、一面の青。


自分で誘っておいてなんだけど、どうしてこうなったんだ、とシャワーを浴びるユナちゃんを台所で待ちながら考える。

時刻は17時半。夕ご飯の準備に取り掛かろうと野菜を刻み、下拵えを終えたあたりで「…ありがと」と小さな感謝の声。温かいお茶を渡せば彼女はコクリと頷いて受け取り、ソファに促せばちょこんと座った。化粧が落ちたせいかいつもよりあどけない。

客人を放って料理を続ける訳にもいかず自分用にお茶を注げば「植草さん」と呼ばれる。

「何ですか?」と愛想笑いを向けたけど彼女はブスッとした表情のままなので、何を言われるのか緊張して待てば、聞こえてきた言葉は「ごめん」。

「え…?何がですか?」

「…噂」

「あぁ…」

噂を広めたのはユナちゃんなのだと分かったけど、多分彼女が全部悪い訳じゃない。

「気にしてないですよ」

「は?そんな訳ないじゃん。早くユナの事罵りなよ!」

そんな事言われても面と向かって言える人なんていないだろう。

「本当に気にしてないので」

「いい子ぶって!なんなのあんた、ほんとムカつく!」

罵れと言われて、逆に自分が罵られてしまう状況がおかしくて、つい笑いが漏れてしまった。

「何笑ってんのよ」

「あ、いえ…」

「とにかくユナは謝ったからね!今更サクに泣きつかないでよね」と分かりやすく口をへの字に曲げた。大人っぽい見た目だからもっとツンとした子だと思っていたのに、中身は意外と可愛らしい。