子供のマウントと言えば年齢と相場が決まっている。見た感じ俺より小さそう。
「…わかんない」
「は?自分の歳知らねーの?」
「うん」
迷いなく答える子供に「お前バカなんだな」と笑ったのは単なる嫌味。なのに、驚いた双眸が俺を見つめた。
「すごい!なんで分かったの!?そうなの、バカなの!!」
なんだこいつは、と引いた俺は可笑しくないはず。無垢な表情が気味悪くて雨のせいじゃない寒気がした。
「お兄ちゃんは何歳?」
向こうも俺の方が年上だと思ったようだ。
「7歳!もう小学生なんだぜ!すごいだろ!」
「小学生?すごーい!!」
学校に行ってないという事は俺より年下。
気を良くした俺は偉そうに知ってる知識をあれこれひけらかし、その全てに「すごーい」と返事がくるのでどんどん気分が良くなる。
「お前名前は?友達になろうぜ!」
「なのか!」
話しても尚男子だとばかり思っていたから、名前を聞いて女子だと分かると少し恥ずかしくなった。
「ふーん」
「お兄ちゃん名前は?」
「…あお」
「あおくん!へへ、初めての友達だ!うれしい」
なんだ、笑ったら可愛いじゃん。なんて思った俺はだいぶマセガキだったと思う。
これが初めての出会い。まだ、楽しかった頃の話。
その後の記憶は苦痛を伴う事しかない。
だから菜乃花を思い出す度に俺の感情は迷子になる。
どんな思いを抱けばいいのか分からなくて、最終的に俺が選んだ感情は『憎しみ』。
それが一番楽だったから。
