冷蔵庫の中には食材らしい食材がない。仕方なく雨の中買い物に向かう。差した傘の布地にあたる雨音が子供の頃は好きだったな、と思い耽り歩いていれば小さな公園が目に入った。
雨と公園。
また、不意に菜乃花の顔が浮かんだ。
こんな雨の日だから何度も思い出してしまう。
菜乃花と出会ったのは7歳の時。親と喧嘩して、子供にしてはすごい行動力で電車に乗って家出した先。
あの日もこんな雨だった。
ポツポツと、小さな雨がどんどん強くなって、最終的にはバケツをひっくり返したみたいな大雨になった。
見知らぬ土地の見知らぬ公園。見知らぬ人ばかり。昼なのにどんどん外も暗くなって流石に心細くなった時、俺よりも心細そうな子供が1人ぽつんと、東屋のベンチに座っていた。
ボッサボサの短い髪の毛で服もサイズが合っていなくて、男なのか女なのか分からない風貌。少し臭ったし痩せ細っていて見るからに貧乏そうで、おまけにずぶ濡れ。
近寄りたくなかったが、屋根がある東屋は一つしかない。諦めてそこに行けば俺に気付いたそいつが「どうしたの?大丈夫?」と声をかけてきた。
お前の方が大丈夫かよ、と言いそうになるのを堪え「大丈夫」とだけ答えた。見知らぬ土地で見知らぬ子供とまで喧嘩してられない。
それ以降は2人とも無言だった。
申し訳程度に付けられた屋根からは雨漏れがひどいし、結局俺もすぶ濡れで、生乾きの服はこの変な子供と同じように臭っているだろう。見た目が似て警戒がほぐれたのか、つまらなかったからか、声を掛けたのは俺から。
「お前何歳?」
