「ユナは悪くないもん」
「でも噂広めたのお前だろ?」
ユナは口を尖らせると「…だって変じゃん。サクから付き合ったなんて報告」と机に突っ伏した。
そんな自覚がなくて「そーか?」と返事すれば「うん!初めて初めて!」とリンも頷く。
「グループ通話でその話された時、ユナ驚いたんだよ…」
「…で?」
「だから、一緒に遊んだ子達に言っただけだもん」とようやくユナが顔をあげた。その顔はまだ不満でいっぱい。
「こんなに早く、しかも他の学年にまで噂が広まると思わなかった」
その目は俺から逸らされる事もなく、確かに事実を告げているようだったけど、思わず舌打ちが出る。
「言えば菜乃花がどんな扱いになるか、お前なら分かんじゃん」
図星をつかれたみたいに口を噤んだユナの目に涙が溜まり、焦り気味のリンが「サク、もうこの辺でいいんじゃない!?」と俺の背に手を当てた。
それでも苛立ちが治まらないでいれば「ねぇ」としょぼくれたユナの声。
「んだよ」
「サク…」
「だから、何だよ」
「…あ、青」
「やめろよ!!!」
小さな呼び声に、叫び返したのは反射。
「名前呼ぶなって言ってんだろ」
「何でよ…」
俺の怒声に肩を跳ねさせたユナの目からみるみるうちに涙が溢れたが、やはり俺の心は揺らがない。むしろ面倒だとすら感じている。
「植草さんには名前呼ばせてんじゃん」
「あいつは…」
「ねぇ、サクにとってあの子なんなの?付き合ったって流石に嘘でしょ?サクがそんな嘘吐くのも意味分かんないし、あの子も突然現れて…っ、いきなり何なの?」
