ただ、一面の青。


ぽそっと言った言葉が耳に大きく響いた。

自分で言って自分で傷つくなんて馬鹿みたいだ。
なのに、溢れ出した涙が止められなかった。

「だから、付き合うなんて、あり得ないんです」

突然泣き出す私に狼狽えた瀬戸くんが「ごめん」と近寄ってくる。

「なんか俺、悪い事言っちゃった?」

「瀬戸くんは、、、なんも、っ、悪くない…私こそすみません。ごめんなさい。ごめんなさいっ」

「や、俺も、なんかごめん」

ブンブンと首を横に振れば、控えめな手が背中を優しく撫でた。

感情の降下に巻き込まれた彼が一番困るだろうに、その優しさにまた涙が止まらない。鼻を啜れば香る甘い匂い。友人同士は匂いも似るんだろうか。それは青くんの香りにとても似ていた。

「っ、あれ、、青くんの、匂い…」

泣きながら口にすれば、「え?今それ?」と瀬戸くんが口元を押さえて笑い出す。

「植草さん変わってるね」

「ご、ごめん、、なさい」

「笑えるからいいよ。これサクと同じ香水だからね」

そう言うと、瀬戸くんがふわりと私を抱きしめた。

一体今何が起こっているの。
驚きで声すら出ない。心臓が跳ね上がり体が固まる。

「あ、本当に泣き止んだ」

「え…」

「リンが持ってた『男モテ講座』って本に、泣いた女の子を慰める方法って項目があってさ」

「おとこ…モテ…講座」

「うん。馬鹿みたいな本だなって思ってたけど、意外と役に立つんだな」

「なる…ほど…?」

さすが一軍。
普通はこんな事できない。驚きすぎてまだ心臓がバクバクしている。