ただ、一面の青。



声の主を探していれば、貯水槽の上から人影が現れた。

「…瀬戸くん…」

寝転んでいたのか寝癖をつけたままの瀬戸くんがひょこっと顔を出し、そのまま上から飛び降りてくる。眼鏡の印象的に運動神経は良くないと勝手に思っていたので、予想外の行動に驚く。

「す、すごいですね…」

「何が?」

「上から…」

「あぁ、大した事ないよ」

涼しい顔で眼鏡のブリッジを持ち上げて「植草さんも一人で集団撃退してすごいじゃん」と笑った。


「撃退って…」

瀬戸くんの言い方にくすくすと笑いを漏らすと、瀬戸くんは私をじーっと凝視してくる。

「え…なんでしょうか」

「いや、笑うと雰囲気変わるなって」

「そう、ですか…?」

「うん。正直、植草さんっていつも暗いじゃん」

ド直球な物言い。事実だけにガツンと頭を殴られた気分になる。

「あ、ごめん。傷ついた?俺、正直すぎるからあんま喋んなって言われてんだよね」

瀬戸くんは一見優等生風の美形男子だが、実物はそのイメージと全然違うようだ。仕掛け絵を見た時のような、どれが本当の彼なのか惑わされてしまう。

「…瀬戸くんのおっしゃる通りなので、気にしないでください」

自分がじめっと暗い事は自分が一番よく知っている。けど、悪意なく直接言われる事は初めてで何だか新鮮だ。