青くんを前に、私は自分の平和ばかり望んではいられない。自分を犠牲にしても青くんの幸福を願わなくては。
それは呪いのようにずっと自分の中に渦巻いている。
俯いたまま彼の言葉を待っていれば「お前」と冷たい声。それすら嬉しいのだからもう末期だと思う。
「俺に許されたいんだろ」
「…うん」
「じゃあ、俺の言うことだけ聞いてろよ」
「…うん」
端々から輝く彼の言葉に聞き惚れる。彼の発する言葉なら何でも心地いい。
「俺はまだまだ許してない。お前はその命全部俺の為に使え」
「うん」
「他の余計な事は考えんな」
「うん」
「分かったか?」
「うん。…青くん…それはつまり、やっぱり死ねって事だよね?」
最初から特に命令が変わっていない気がして小首を傾げれば、彼は引き攣った顔で「お前話聞いてたか?」と舌打ちをする。
「え、だって…命全部使えって」
「だから、それは、、、…俺の命令に従えって事だよ!バカ」
「あっ、なるほど!青くんの下僕って事ね!!」
「…まじで何なの?発想が怖えーよ」
お前と話すの疲れる、と額を抑えると、彼は自分の手のひらを見つめ、一瞬迷ったように視線を彷徨わせると、また舌打ちをして、何を思ったのか私と手を繋いだ。
結ばれた手と青くんの背中。
美しい眺めを、涙を堪えながら目に焼き付ける。
こんなに幸福でいいのだろうか。
——そして翌日、学校で私を待ち受けていたのは、制裁だった。
