思いの外大きな声と同時に、青くんが荒く手を離す。手のひらにはじんわりと汗。それは私と彼とどちらのだろう。
「何なのお前。怖ぇーよ」
「えっ、、でも、青くん…」
「いちいち真に受けんな」
気持ち悪い、と青くんは軽蔑を含んだ眼差しを向け、大きなため息と一緒に頭を抑えた。
「…ごめん、なさい」
折角彼の願いを叶えられると思ったのに、としょぼくれた気持ちで謝る私に、興醒めとばかりにベンチから腰を上げる。
「お前さ、自分を犠牲にして悦に入るの、まじでキモいからやめろ」
「でも…」
「でもじゃねーよ」
チッと舌打ちをして背を向ける青くんの腕を「待って」と慌てて掴んだら、振り返った彼は「なに?」と冷たく言い放つ。不機嫌が最高潮だ。
「青くん、今日はごめんね」
「いちいち謝んな。それもうぜー」
「ごめん…」
堂々巡りだろうが謝る以外の言葉が見つからなくて、青くんが呆れ返っているのは伝わったけど、どうする事もできなかった。
だって私は、ずっとそういう風に育てられてきた。
じっと静かに、目立たないように、言うことを聞くように。
今が平和だからと勘違いしてはまた地獄に逆戻り。この新しい場所を失いたくない。のらりくらりと、息を潜めて、人影に隠れながら生きていくべき。
なのに、私は青くんと再会してしまった。
