DEAR 1st 〜 SEASON〜




────ドクン……。




心臓が軋み、伏せた視界が潤みそうになる。


針でも刺さったような感覚に、うまく呼吸さえ出来なくて。



「…彩…大丈夫…?」


「……うん……」



ナナが気をつかってくれてるけど。



───“大丈夫”、なワケない。




……あの人……誰……?


誰よ……?




こんな時、頭は嫌でも答えを導き出そうとする。




きっと。



“彼女”───…






そうだよね、間違いないよね。





あーあ……。

………バカ……。



本当バカだよな、あたし…。


高山さんがフリーな訳ないじゃん。


あんなにかっこよくて優しいんだもん…。


女の子がほっとくわけないよ……。



高山さんも高山さんで、寄ってくる女の子を無視なんてしないだろうし……。




「…………」




マジ、バカみたい


一人で勝手に盛り上がって、舞い上がってたあたしって一体何だったんだろ……。


こんなに自分の存在がちっぽけだったなんてね……。




思い知らされる。




高山さんの目にも頭にも、あたしは欠片さえ入っていないってこと。