DEAR 1st 〜 SEASON〜






「──…応援歌。




…………ぶんに……。」






朝岡さんが空に向かって笑った。





朝岡さんは知っていた。




今日、ぶんちゃんが東京に旅立つということを。






だから、来てくれた。






あたしが一人泣いているんじゃないかと──…。








「──……ふ……っ

─────…ッ……」








優しさに気付く。





見えない優しさに、




見える優しさに。






もういい……?





もう泣いてもいい…?







今は空にいるから、

もう見てないよね……?






見送るまでは泣かないって決めたけど、無理みたい。








好きだったよ。





本当に本当に好きだったよ。





子供ながらに必死に恋したよ。






初めて、辛くて苦しい気持ちも味わった。





疑ったり責めたり、

どうしようもない惨めな立場も経験したよ。





それでも、あなたを見ていたよ。






恋は甘くて苦いものだと知った。






あなたによって、





わたしがいた。






恋に生かされていた。







恋をしたから生きていた。






生きることに必死になれた。








ぶんちゃん……





ぶんちゃん──……






初めて真剣に人を好きになれたのが、あなたでよかった。





あなたから、こんなにも人を想えるということを教えてもらった。




あなたから教えてもらった数知れない気持ちが、今も絶えず心に芽吹いている。








───…好きだった。






大好きだった。






今も輝く思い出を胸に







また、歩きたいと思う。






ぶんちゃん。





ありがとう───……